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医療コラム

寒くなったら心臓病に注意しましょう!



心臓病は寒くなると危険?

厚生労働省で発表している「主な死因別にみた死亡率の年次推移」(図1)によると、死因の中で占める心臓病の割合は、「がん」に次ぐ第2位となっており、年々増加傾向にあります。がんがさまざまな臓器や組織にできる病気であることを考慮すると、心臓病は一つの臓器での死因として第1位を占めているといえます。また「月別心臓病患者死亡数」(図2)を見てみると、心臓病による死亡は12月~3月にかけて多く、12月の死亡数は6月に比べて1.6倍と増えていることがわかります。心臓病は冬になると不安定になりやすく危険であると言えるかもしれません。

図1:主な死因別にみた死亡率の年次推移

注1:平成6·7年の心疾患の低下は、死亡診断書(死体検案書)(平成7年1月施行)において「死亡の原因欄には、疾患の終末期の状態としての心不全、呼吸不全等は書かないでください」という注意書きの施行前からの周知の影響によるものと考えられる。
注2:平成7年の脳血管疾患の上昇の主な原因は、ICD-10(平成7年1月適用)による原死因選択ルールの明確化によるものと考えられる。

図2:月別心臟疾患者死亡数

こんな症状は心臓病かもしれません。

(1)胸の痛み

重たい物を持ったときや階段を上った時など「動いた時に胸に締め付けられるような痛み」は「狭心症(きょうしんしょう)」かもしれません。狭心症は心臓に栄養と酸素を送っている冠状動脈(かんじょうどうみゃく)(または略して冠動脈(かんどうみゃく))が狭くなることで起こります。狭心症の痛みは体を休めると数分で消失するためついつい様子を見てしまいがちです。
但しこの段階で治療ができれば心臓の機能は元通りに戻ります。病気が進行し血管が詰まってしまうと心臓の壊死が始まり「心筋梗塞(しんきんこうそく)」になります。その場合強い胸の痛みが休んでも消えることがなく冷汗がでてきます。心臓に痙攣を引き起こすような不整脈心室細動(しんしつさいどう)・心室頻拍(しんしつひんぱく)や、重度の呼吸困難を伴う心不全(しんふぜん)に発展することもありとても危険な状況です。早急に心臓カテーテル治療で血管の詰まりを解消しなければなりません。
先程お示しした心臓病による死亡の中で心筋梗塞が8割近くを占めているそうです。寒い時期は血管が細くなり発作を誘発しやすくなるので注意が必要です。

(2)呼吸困難、足のむくみ

心臓から十分な血液を送り出すことができなくなっている状態を「心不全(しんふぜん)」と呼びます。心不全になると「呼吸困難」と「むくみ」が出現します。最初は「動くとすぐに息が切れる」ようになり、その後「寝ているとしばらくして咳が止まらなくなる」という症状が出てきます。更に病気が進行すると「寝ていると苦しくなるので夜になると座っている」ようになります。座っているときに症状が楽になるのは、肺に溜まった血液が座っている姿勢の時に重力で足の方に移動するからです。寝ていると苦しくなって座ると楽になるのは心不全に特徴的な症状のように思われます。またむくみは足側から始まることが多く、体重も急激に増えてきます。これらの症状がある時は心臓の状態を確認された方が良いでしょう。冬場は寒くなることで血圧が高くなります。血圧が高すぎると心臓は血液を送り出す時に強い力が必要となり大きな負担となります。血圧を高いまま放置しないようにすることも大切です。

(3)動悸、めまい、意識消失

心臓の鼓動が速くなったり遅くなったりする病気を「不整脈(ふせいみゃく)」と言います。心臓の鼓動が速くなると「動悸」が出現します。一方で心臓の鼓動が遅くなると「貧血に似ためまい意識消失」が出現します。そのような症状がある時に脈を触ってみて下さい。不整脈は発作がない時は検査結果に異常が出にくいため、病院に来ても診断できないことが多くあります。そのため「症状がある時の脈拍数」、「脈が飛ぶ」、「脈が不規則に打つ」などの情報は診断をする上でとても役立ちます。心臓の鼓動は自律神経の調節を受けますが、寒さは自律神経の興奮に影響を与えます。不整脈(ふせいみゃく)の中には命に関わる危険のものもありますので、心配になったら病院を受診することをお勧めします。

日常生活で気をつけること

寒い冬を無事に乗り越えるために日常生活で気をつけていくことは何でしょうか?
  1. 外出時
    マフラー、コートなど防寒着をしっかり着用し、急激に体を冷やさない。
    マスクを着用し風邪やインフルエンザなどの感染予防に心掛ける。

  2. 室内での生活
    風呂の温度を38~40℃くらいに設定し、熱い湯(42~43℃)での入浴を控える。
    脱衣室と浴室を事前に温めておく。

  3. 食生活
    過剰な塩分摂取やアルコール摂取を控える。
    早朝起床時はコップ1杯の水を補給する(睡眠時の発汗で血液が濃縮していることがある)。

  4. その他
    タバコを吸う方は禁煙を心掛ける。
但しこれらの点に注意していても、完全に心臓病発作を予防できるわけではありません。心臓病を疑う症状がある場合は、早めに病院にかかることが大切です。早めに治療を開始することで心臓に後遺症を残さずに治療を行うことができます。

市立湖西病院循環器内科のご紹介

当院の循環器内科では院長を含め常勤医師5人、非常勤医師1人の計6人で日々の診療を行っています。循環器内科外来は月曜日から金曜日まで連日外来を開設しております。「締め付けられるように胸が痛む」「動悸がする」「動くとすぐに息が苦しくなる」「寝ていると咳が止まらない」「足がむくむ」といった症状は心臓病の徴候かもしれません。その際は一度当院まで足をお運びください。
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