グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



医療コラム

緩和ケアについて


緩和ケアとは

緩和ケアをご存じでしょうか。
ほんの十数年前まではがんが進行した方の「終末期医療」や「ターミナルケア」といった看取りの医療としか考えられていませんでしたし、苦痛をとる技術も知識も発展していませんでした。

今「緩和ケア」は日本のがん治療においてなくてはならない大きな存在となっています。
緩和ケアが認識されだしたのはここ20年のこと。政策においてやっと平成19年に施行された「がん対策基本法」に初めて緩和ケアの充実が盛り込まれ、さらに平成24年に改定された「がん対策基本計画」では緩和ケアは「がんと診断された時からの緩和ケア」という文言が盛り込まれました。(図1)

従来の緩和ケア、現在の緩和ケア、さらなる緩和ケアのイメージ図

図1

本邦の緩和ケアはがん患者を中心に推進されてきました。それはがん治療における緩和ケアの介入はQuality of Life (QOL:生活の質)の向上のみならず予後にまで影響するほど大きな力があるからです。新しいがん治療薬剤1剤にも匹敵する影響があるほどです。

がん診療における治療の柱は「手術」「化学療法」「放射線治療」の3つがあり、現在も大きく発展を遂げています。さらに「栄養サポート」「リハビリテーション」そして「緩和ケア」これらすべてをもってはじめてがん集学的治療としてがん治療がなされてゆきます。(図2)

がん集学的治療のイメージ図

図2

すでに「緩和ケア」という言葉は以前と比べると広く知られるようになりました。
しかし実際はまだまだ「緩和ケアは、いつ・どこで・どんなとき受けられるのでしょうか」ということを何度も聞きます。

世界保健機関(WHO)の緩和ケア定義(2002年)

緩和ケアとは
緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療·処置)を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、クオリティ·オブ·ライフを改善するアプローチである。
緩和ケアは
  • 痛みやその他の苦痛な症状を和らげる
  • 生命を尊重し、死を自然の過程と認める
  • 死を早めたり、引き延ばしたりしない
  • 患者ケアの心理的側面とスピリチュアルな側面を統合する
  • 死をむかえるまで患者が人生を積極的に生きてゆけるようささえる
  • 家族が患者の闘病経過や自分自身の死別悲観に対処できるよう支える
  • チームアプローチを用いて患者と家族のニーズに取り組む。必要に応じて死別後のカウンセリングの提供も含まれる
  • QOLを高め、病気の経過に対して良い影響をあたえる
  • 疾患の早期から適用することが可能であり、化学療法や放射線治療など延命を目指す他の治療と並行して行われる。また、不快な合併症をより良く理解しマネジメントするために必要な検査も含まれる
緩和ケアの役割は、がんに伴う体と心の痛みやつらさを和らげることです(定義は上記の表参照)。体のつらさだけでなく、心のつらさや療養生活の問題など幅広い支援を行い、患者さんや家族が自分らしく過ごせるよう支えることも大切な役割です。苦痛を取り除くには他職種に渡りチームで対応することが極めて重要になります。(図3)

緩和ケアにかかせないチーム医療のイメージ図

図3

緩和ケアはいつでもどこでも、がんと診断されたときからさらにはそのご家族を含めて緩和ケアを受けて頂くことでできます。がん拠点病院では緩和ケアチームの設置が義務つけられていますが、当院ではこれまで緩和ケアチームは設置されておりませんでした。そこで2017年10月1日より緩和ケアチームを設置しました。
コアメンバー 太田 学 医師
豊田 清子 看護師
(がん性疼痛看護認定看護師)
志田 友美 薬剤師
さらに栄養科、リハビリテーションともいつでも連携しております。
がん患者さんでなくとも苦痛でお困りの方全てに対応しております。緩和ケアチームは患者さんの苦痛を取り除くことが最大の目的です。治療については担当医が主となりますが、担当医と緊密な連携を保ち、他職種と連携をとりながら苦痛を取り除いてゆきます。
「がんと診断された時からの緩和ケア」を目指し、また多くの患者さんに緩和ケアの重要性を知っていただくべく院内にはポスター掲示等もおこなっております。
まずお気軽に緩和ケアに関する相談をしていただけたら幸いです。

市立湖西病院 外科 太田 学
  1. ホーム
  2.  >  医療コラム
  3.  >  緩和ケアについて