睡眠中の無呼吸は検査が必要です
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睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に無呼吸を繰り返すことで、様々な合併症を起こす病気です。成人男性の約3~7%、女性の約2~5%にみられます。男性では40歳~50歳代が半数以上を占める一方で、女性では閉経後に増加します。
次の様な症状があると睡眠時無呼吸症候群が疑われます。
- 毎晩激しいいびきをかく。
- 睡眠中、呼吸がしばしば止まっていると言われる。
- 朝、頭痛や頭重感がある。
- 日中眠たくなる。日中よく居眠りをする。
睡眠時無呼吸症候群の診断基準は、睡眠中に、10秒以上の気道の空気の流れが止まった状態を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、若しくは1時間あたり5回以上です。
睡眠時無呼吸には、上気道が物理的に狭くなり、呼吸が止まってしまう閉塞性睡眠時無呼吸と、呼吸中枢の異常による中枢性睡眠時無呼吸の二つに大別されます。
本稿では全体の9割以上をしめる閉塞性睡眠時無呼吸症候群について解説します。
睡眠時無呼吸には、上気道が物理的に狭くなり、呼吸が止まってしまう閉塞性睡眠時無呼吸と、呼吸中枢の異常による中枢性睡眠時無呼吸の二つに大別されます。
本稿では全体の9割以上をしめる閉塞性睡眠時無呼吸症候群について解説します。
しかし無呼吸から呼吸が再開する時に、睡眠中でも脳が覚醒した状態になり、睡眠が分断されて交感神経が活性化されます。睡眠中は本来優位ではない交感神経の活性が高まることで調節機能のバランスが崩れ、ホルモン分泌の異常や全身の炎症につながると考えられています。睡眠時無呼吸による間欠的低酸素血症と睡眠の分断による交感神経の亢進が大きく関与して、生活習慣病の発生やその悪化に影響を及ぼします。高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病との関連が重要視されています。
睡眠時無呼吸症候群では、深い睡眠をとることができなくなるため、慢性の睡眠不足の状態となり、昼間の眠気が出現します。作業や運転中の事故につながります。
睡眠時無呼吸症候群では、深い睡眠をとることができなくなるため、慢性の睡眠不足の状態となり、昼間の眠気が出現します。作業や運転中の事故につながります。
検査について
問診の結果、睡眠時無呼吸症候群が疑われると、検査が行われます。検査には簡易検査と精密検査があります。簡易検査では手の指や鼻の下にセンサーをつけて睡眠中の酸素飽和度と、気流やいびき音から気道の狭窄や呼吸状態を測定します。精密検査は終夜睡眠ポリグラフ検査と呼ばれ、簡易検査よりもさらに詳しく、睡眠と呼吸の質の状態を調べます。睡眠中に、口と鼻の気流、血中酸素飽和度、胸部·腹部の換気運動、筋電図、眼電図、脳波、心電図、いびき音·睡眠時の姿勢が記録されます。
治療について
肥満は閉塞性睡眠時無呼吸症の最も重要な危険因子です。減量は常に励行されるべき治療法です。男性は女性に比べて上気道周囲に脂肪が沈着しやすいので、肥満に対する注意がより重要です。ただし減量のみで治療可能である例はほとんどなく、いったん減量しても再度体重が増えることが多く、減量は他の有効な治療法と並行して行う必要があります。
アルコールは上気道の筋の緊張を弛緩させて上気道の抵抗を増幅させますので、就寝前の飲酒は禁止されます。喫煙は気道系に炎症をもたらして上気道の閉塞を誘発するため、禁煙が必要です。睡眠導入剤は、上気道の筋を弛緩させて上気道を閉塞しやすくするので服用には注意が必要です。
軽度な症状にはマウスピースで治療します。歯科で作成された専用のマウスピースにより、睡眠中に下顎を上顎よりも前方に出すように固定させることで上気道を広く保ち、無呼吸の発生を防ぎます。
アルコールは上気道の筋の緊張を弛緩させて上気道の抵抗を増幅させますので、就寝前の飲酒は禁止されます。喫煙は気道系に炎症をもたらして上気道の閉塞を誘発するため、禁煙が必要です。睡眠導入剤は、上気道の筋を弛緩させて上気道を閉塞しやすくするので服用には注意が必要です。
軽度な症状にはマウスピースで治療します。歯科で作成された専用のマウスピースにより、睡眠中に下顎を上顎よりも前方に出すように固定させることで上気道を広く保ち、無呼吸の発生を防ぎます。
経鼻的持続陽圧呼吸療法は最も普及している治療方法です。重症に近い中等度と重症の睡眠時無呼吸症例が対象です(図2)。
マスクを介して持続的に気道へ空気を送ることで、狭くなった気道を広げることができます。しかし患者の遵守に限界があるため、この装置による治療が継続できなくなる頻度は高いです。
乾燥、鼻の刺激感、マスクによる不快感が原因です。
気道を塞ぐ部位を取り除く目的で、少数ですが、小児と一部の成人で、アデノイド・口蓋扁桃摘出術が行われます。
マスクを介して持続的に気道へ空気を送ることで、狭くなった気道を広げることができます。しかし患者の遵守に限界があるため、この装置による治療が継続できなくなる頻度は高いです。
乾燥、鼻の刺激感、マスクによる不快感が原因です。
気道を塞ぐ部位を取り除く目的で、少数ですが、小児と一部の成人で、アデノイド・口蓋扁桃摘出術が行われます。
(図2)
中等症以上の睡眠時無呼吸症候群を放置すると、10年後には3~4割の方が死亡してしまうと言われています。適切な治療を行えば、これらの生活習慣病は改善されますので、早期の診断と治療が大切です。 いびきがみられる個人のほとんどは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群ではありませんが、ご心配な方は、一度簡易検査を受けることをお勧めします。精密検査が必要な場合は、睡眠障害を専門とする病院へ紹介させていただきます。
市立湖西病院 耳鼻咽喉科
船井 恒嘉
船井 恒嘉