ビタミンDについて
はじめに
「ねえねえ、ビタミンってなあに?」と、チコちゃんに聞かれたら答えられますか?
答えは、「生きるため(vital)の、アミン(amine)、略してビタミン(vitamin)!」です。アミンは、窒素を含む有機化合物のことです。
例えば、幼いネズミに飼料としてたんぱく質、脂質、糖質、ミネラルを与えて飼育しても十分に育ちません。そこにビタミンが加わることで発育が完成されます。これが、いわゆる5大栄養素と言われるゆえんです。
今回はビタミンDのお話です。皆さんは、ビタミンDが骨を丈夫にしてくれると思っていませんか?実は、ビタミンDは骨を溶かすように命令しているのです。でも安心して下さい。結果的には丈夫になるというお話です。
答えは、「生きるため(vital)の、アミン(amine)、略してビタミン(vitamin)!」です。アミンは、窒素を含む有機化合物のことです。
例えば、幼いネズミに飼料としてたんぱく質、脂質、糖質、ミネラルを与えて飼育しても十分に育ちません。そこにビタミンが加わることで発育が完成されます。これが、いわゆる5大栄養素と言われるゆえんです。
今回はビタミンDのお話です。皆さんは、ビタミンDが骨を丈夫にしてくれると思っていませんか?実は、ビタミンDは骨を溶かすように命令しているのです。でも安心して下さい。結果的には丈夫になるというお話です。
体内ビタミンDはどこから来るのでしょう?
これには2通りあって、ひとつは食物から得られるもの(動物起源のビタミンD3と植物起源のビタミンD2)、もうひとつはヒトの皮膚のコレステロールに紫外線が当たって出来るもの(これもビタミンD3)があります。これらは天然型ビタミンDと呼ばれます。ビタミンDを多く含む食物としては魚類とキノコ類が知られていますが(下記表参照)、意識していないと毎回食卓に上がるとは限りません。日光浴はビタミンDを産生してくれますが、素肌に直射日光を浴びる必要があります。毎日20分程度浴びれば、必要なビタミンDが産生されるという説もあるようですが、現代社会では難しい人が多く、皮膚がんの発生リスクを重視すると日光浴を避けがちです。天然型ビタミンDは、肝臓と腎臓を経て活性型ビタミンDとなり、重要な作用を担います。
食品名 | 含有量(mg/100g) | 食品目安量(可食部) | 目安量(可食部)中の成分含有量 |
---|---|---|---|
かわはぎ | 43μg | 1尾200g(70g) | 30μg |
べにざけ(焼き) | 38.4μg | 1切れ80g | 30.7μg |
からふとます(焼き) | 31.2μg | 1切れ75g | 23.4μg |
にしん | 22μg | 1尾200g(110g) | 24μg |
うなぎ蒲焼き | 19μg | 1串80g | 15.2μg |
まこがれい(焼き) | 9.2μg | 1尾150g(75g) | 6.9μg |
あゆ(養殖・焼き) | 17.4μg | 1尾70g(32g) | 5.6μg |
しらす干し(半乾燥品) | 61μg | 大さじ1杯5g | 3μg |
いさき | 15μg | 1尾200g(110g) | 17μg |
まいわし(焼き) | 14.4μg | 1尾60g(39g) | 5.6μg |
たちうお | 14μg | 1切れ100g | 14μg |
さんま(焼き) | 13.0μg | 1尾120g(84g) | 10.9μg |
まあじ(焼き) | 11.7μg | 1尾110g(72g) | 8.4μg |
まさば | 11μg | 1切れ80g | 9μg |
あらげきくらげ(油いため) | 37.7μg | 1個34g | 12.8μg |
きくらげ(ゆで) | 8.8μg | 10個30g | 2.6μg |
まいたけ(油いため) | 7.3μg | 1パック75g | 5.5μg |
卵黄 | 5.9μg | 1個分18g | 1μg |
マーガリン | 11.2μg | 大さじ1杯12g | 1.3μg |
ビタミンDにはどんな機能があるのでしょう?
まず最も大切な機能は、血液中のカルシウム濃度を高める作用です。図1のように、ビタミンDは食物からカルシウムの吸収を促し(主に小腸)、尿からカルシウムが出て行かないようにし(腎臓での再吸収)、意外にも骨を溶かしてカルシウムを駆り出す作用があります。ですので、ビタミンDは本来骨のためにあるのではなく、体内でカルシウムが活躍出来るように補助するビタミンです。ところが、ビタミンDの作用で血液中のカルシウムが増えると、甲状腺からカルシトニンというホルモンが分泌されて、これが結果的に骨を丈夫にしてくれます。また治療薬などで活性型ビタミンDを内服すると、骨が溶けずに骨量が増加するという現象が起きます(RANKLという骨にとっての悪玉因子が減少します)。
図1 ビタミンDの働き
骨以外への作用としては、筋肉への作用があげられます。年齢が増すにつれて筋力が衰えることはどなたも経験する事です。
活性型ビタミンDには、筋肉の成熟を促す、筋肉にカルシウムを取り込むなどの直接作用と、慢性的な炎症を抑えて、炎症が筋肉タンパク質を壊してしまう作用を押さえる間接作用があります。ビタミンD濃度の低い人は、明らかに加齢による筋肉量減少(サルコペニアと呼びます)になり易いというデータがあります。
筋肉への影響と関連して、ビタミンDの不足している高齢女性は転倒しやすいというデータがあります。転びやすいのに、病院に行っても原因が分からず「年齢のせい」といわれている方にとっては、ひとつの突破口になるかもしれません。
活性型ビタミンDには、筋肉の成熟を促す、筋肉にカルシウムを取り込むなどの直接作用と、慢性的な炎症を抑えて、炎症が筋肉タンパク質を壊してしまう作用を押さえる間接作用があります。ビタミンD濃度の低い人は、明らかに加齢による筋肉量減少(サルコペニアと呼びます)になり易いというデータがあります。
筋肉への影響と関連して、ビタミンDの不足している高齢女性は転倒しやすいというデータがあります。転びやすいのに、病院に行っても原因が分からず「年齢のせい」といわれている方にとっては、ひとつの突破口になるかもしれません。
その他ビタミンDには、
- ある種のがん細胞の発生や増殖を抑える働きがあること
- 動脈硬化を予防する働きがあること(ただし過剰になると血管の石灰化を生じます)
- 自然免疫力を高める効果があること
- 自己免疫疾患(関節リウマチなど)の炎症を抑制する働きがあること
私たちは十分なビタミンDを保有しているのでしょうか?
厚労省が推奨するビタミンDの目安摂取量は成人で5.5μgとされていますが、それでも一般日本人の70%以上は不足していると言われています。日本骨粗鬆症(こつそしょうしょう)学会では患者さんには10~20μgの摂取を推奨しています。特に高齢者では紫外線によるビタミンD産生能も低下していて、「ぼうっとしていては」とても足りません。骨粗鬆症の治療におけるビタミンD投与は、建築の基礎工事のような役割です。天然型(これはサプリメントでも入手可能です)と、活性型がありますが、活性型の方が骨密度改善や椎体骨折予防に優れています。
おわりに
これを機会に、ビタミンDを意識して生活しましょう。
ご自分には不足していると思われたら、医療機関で相談してみてください。
ご自分には不足していると思われたら、医療機関で相談してみてください。
参考図書:ファーマナビゲーター・活性型ビタミンD3製剤編(メディカルレビュー社)
Clinical Calcium : Vol.27, No.11, 2017 (医薬ジャーナル社)
整形外科 杉谷 繁樹
Clinical Calcium : Vol.27, No.11, 2017 (医薬ジャーナル社)
整形外科 杉谷 繁樹